大阪メトロのひらがな駅名いくつ分かる?
なんば
1935(昭和10)年10月30日に、御堂筋線の心斎橋ー難波間延伸時に開業しました。後に四つ橋線、千日前線も乗り入れることになります。
開業当初は「難波」と漢字表記がなされていました。その後開業した四つ橋線ホームは「なんば元町」(後に「なんば」に改称)とひらがな表記。さらにそのあと、千日前線ホームが開業した際に御堂筋線・四つ橋線・千日前線の駅名表示をひらがな表記で「なんば」と統一したそうです。
▼駅名変更についてはこの記事で解説!▼
あびこ
1960(昭和35)年7月1日に、御堂筋線の西田辺ーあびこ間延伸時に開業しました。
駅周辺の地名では「我孫子」、JR阪和線には「我孫子町」と、漢字表記がなされている中で大阪メトロではひらがな表記が採用されています。
なかもず
1935(昭和10)年10月30日に、御堂筋線のあびこーなかもず間延伸時に開業しました。
駅開業から現在まで御堂筋線では南の終端駅。御堂筋線の乗車経験があれば、行先表示などで「なかもず」というひらがなを見たことがあるのではないでしょうか。
駅周辺の地名では「中百舌鳥町」、乗換駅の南海・泉北高速線では「中百舌鳥」と、漢字表記がなされている中で大阪メトロではひらがな表記が採用されています。
ひらがな表記は正式名称ではない
今紹介した3つの駅は、ひらがな駅名かと言うと少し語弊があります。というのも「なんば」「あびこ」「なかもず」は正式な表記ではないのです。
どれも正式には漢字表記で、「難波」「我孫子」「中百舌鳥」が正しい駅名です。
しかしこの3駅をひらがな表記にしている理由は「漢字が読みにくいという声があった」からだと、乗りものニュースの取材記事にて紹介されています。なんばは長年乗降客数2位を誇る駅ですし、あびこ・なかもずは終端駅である(あった)ことから駅名を掲示する場面(方面表示や行先方向幕、発車標など)が多いため、とって然るべき措置だと思います。
なので大阪メトロユーザーで漢字表記を見たことがある人はほとんどいないはず。そんなあなたでも簡単に3駅の漢字表記を見る方法が「切符・乗車券」です。各駅で購入したきっぷなら漢字表記を見ることができます。
また、なかもず駅はホーム内でも漢字表記を見ることが可能です。
一方で、正式名称にもひらがなが含まれている駅もありますよね。
残る後半パートでは、本当の大阪メトロのひらがな駅名たちを紹介していきますよ!
大阪メトロの(本当の)ひらがな駅名いくつ分かる?
文の里
1980(昭和55)年11月27日、谷町線の天王寺ー八尾南延伸時に開業。
谷町線延伸まで同じ区間を走っていた南海平野線から役割を譲る形で開業しており(南海平野線は谷町線延伸開業日に廃止)、同線文ノ里駅の代替駅となっています。
阿倍野区役所の所在地を含む東南方一帯の地に「文の里」という町名ができたのは、昭和26年2月20日であった。この町名は、南海平野線の駅名「文ノ里」に由来するものである。その駅名は、付近に桃山・明浄・天王寺・工芸高校など学校が多かったところから、「文ノ里」と名づけられた。
阿倍野区「阿倍野の地名・町名の由来」(2022.05.06閲覧)
南海平野線の駅名として名付けられたのが発端で、地域の特徴を端的に示しているおもしろい駅名です。さらに駅名が地名にもなってしまったのがおもしろいですよね。
これは「農作の地」とか「祭りの場」とかそういうノリなのでしょうか…。少なくとも「文の里」命名者の日本語センスが非常に高いことはよく分かります。(それとも管理人のセンスが低いのか)
現代なら「学園都市」とでも命名されそうなものですが…「文の里」と名付けたセンスすごいなぁ。
このような由来から見るに、「文の里」の「の」は助詞。現代日本語文法では助詞はひらがなで表記するのが一般的なので「の」はひらがな表記となったと考えられます。
中ふ頭
1981(昭和56)年3月16日、南港ポートタウン線(ニュートラム)開通時に開業。当時は終着駅でした。
「ふ頭」については「埠頭」という漢字がありますが、わざわざひらがな表記となっています。実は全国の似たような駅名でも、事業者によって扱いがバラバラだったりします。
駅名 | 地域・路線名 |
---|---|
芝浦ふ頭 | 東京・ゆりかもめ |
金城ふ頭 | 名古屋・りんかい線 |
中ふ頭 | 大阪・ニュートラム |
北埠頭 | 神戸・ポートライナー |
中埠頭 | 神戸・ポートライナー |
公的なソースは見つけられなかったのですが、常用漢字に「埠」が含まれていないために漢字の使用を避けているという説があるそうです。
地名であれば常用漢字であろうがなかろうがそのまま採用されると思いますが、「埠頭」は一般名詞のため漢字表記にこだわる必要はないのだと管理人は推測しています。
だいどう豊里
2006(平成18)年12月24日、今里筋線開通時に開業。
だいどうがひらがな表記なのは、駅周辺に「大道南」「大桐」という同音異字の「だいどう」地名が存在するからです。
いずれも東淀川区で、隣接しているのにも関わらず漢字が違います。古くから「大道」と呼ばれ、全ての地名が「大道」で統一されていましたが、1980年にその一部地域が「大桐」に名称変更されています。それ以後2種類のだいどうが並んで存在するややこしい事態となりました。
なぜ一部だけなのか、そもそもなぜ改称したのか…。その理由をご存知の方は教えていただけると助かります。
編集後記
今回の話題を取り上げるきっかけとなったのは、今年3月に放送された「鉄オタ選手権オオサカメトロの陣!」でした。
多くの視聴者が真っ先に思い浮かべるであろう「なんば」「あびこ」「なかもず」を誤答させてから場を転がす番組構成が好きで、今回の記事を書く際にも参考にしてみました!
その番組の感想記事も公開してますので、ぜひ!
引用・参考文献
乗りものニュース「なんば、あびこ、なかもず… 駅名なぜひらがな表記?」(2022.05.06閲覧)
阿倍野区「阿倍野の地名・町名の由来」(2022.05.06閲覧)
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