大阪メトロ堺筋線も通っている阪急千里線、そして阪急京都線の2線がX字に交差することで有名な阪急淡路駅周辺では、30年がかりの大規模な高架工事を行っている途中です。
正式には「阪急電鉄京都線・千里線(淡路駅付近)連続立体交差事業」と呼ばれるこの工事の1番の醍醐味は、複雑な配線で有名な現ホームから上下線が2層に分かれているホームに変わることです!
そんな阪急淡路駅ですが、以前の視察から8ヶ月も経ったということで久々に工事の経過を見ていきたいと思います!
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「阪急電鉄京都線・千里線(淡路駅付近)連続立体交差事業」について総合的にまとめたページになります!
前回の2020年6月取材の記事です!
さらに今回は動画が2種類もあります!要所まとめた動画と、現場を歩いた様子のほぼほぼノーカット版。そちらも一緒に見るとこの記事がさらに楽しめます!
この工事では長い区間を8つの工区に分け、多数の事業者が並行して効率的に工事を進めています。
工区によって進捗はさまざまですが、完成に向けて着々と進んでいます。
前回と同じように、今回も第1工区から順番に工事現場を紹介していきます!
阪急淡路駅高架工事を見に行きました!
第1工区 -崇禅寺駅周辺-
南方駅~崇禅寺駅の区間に来ました。写真では分かりずらいかもしれませんが、奥に向かって上り坂になっています。
以前の視察時には手前の構造物はまだ着手されていませんでした。
崇禅寺駅は現在の地上駅の直上に高架化されます。これを「直上施工」と言います。高架後も現在と同じく2面2線ホームの予定です。
また崇禅寺駅は元々地下改札でした。現在は各ホームの仮設地上改札に移設しています。また高架に切り替えた後に中階に改札を作ります。
この区間は前回の視察時とと変わりなく、橋脚が途中まで完成しているところで工事が止まっているように感じます。
第2工区 -崇禅寺駅~淡路駅-
この工区は特に建設用地が少ないようで、直上施工で工事が進んでいます。
また第2工区の橋脚についてはほぼ建てられているように感じました。あとは橋桁ですね。直上施工なのでこの先もまだまだ大変そう。
そしてその直上施工で最も重要となる直上高架施工機(直上施工機)がこの区間にありました!専用のレール上を移動していくらしいです。
直上施工機は、高さが約 26m あり、両側のクレーン2 基により、高架構造物建設に必要な資材を吊り上げて工事を行います。
大阪市建設局「淡路駅付近連続立体交差事業だより vol.12」
マンションの隙間から見ると大きさがよく分かります。これが移動するって…すごいな。
前回の視察時には第2工区はどこも橋脚だけでしたが、淡路駅寄りの場所は蓋をするように鉄骨の足場(?)が組まれており、橋桁の建設が進みそうな気配があります。
第3工区 -淡路駅周辺-
今回の高架工事といえばこれ!となるほどには注目を集めている(と思っている)巨大な2層トラス桁は今もなお存在感強めで立っておられました。ここの関しては前回の視察時と変化はないように感じました。
そして…
今回1番の衝撃がこちら!!!!
踏切の左右にある2つの構造物の間に橋桁がかかっている!!
管理人にとってはとんだサプライズでした…
この付近では線路が上りと下りで2層構造になっています。そのうちの下層に橋桁が架かっていました!
さらに上層の橋桁もすでに構造物の上に準備されていますね!こちらの橋桁が架かるのも時間の問題だと思います。
前回の視察時には橋桁がありませんでした。
そして肝心の駅舎です。うん、でかい。
前回の記事でも書きましたが、工場かショッピングモールかと疑う大規模の構造物で、駅には到底思えません。
淡路駅の東改札口側に来ました。動画で撮影した時には、駅舎が大きすぎて画角に収まっていませんでした(笑)
もっと離れたところから撮影しておけばよかった…
それにしても、巨大な構造物の下にぽつりと佇む現改札口が、新駅舎との規模の違いを表していますね。
第4工区 -淡路駅~下新庄駅-
こちらも驚きでした。
千里線用の巨大なトラス橋がおおさか東線と現在の京都線の上に3重に交差して架かっていました!(千里線は2層なので実質4重?)
鹿島建設HPによると2020年7月6日の深夜70分間でトラス橋を送り出したそうですよ!こんな大きな構造物を空中で移動させたなんて…凄すぎてビビりますよ、ほんとに。
トラス橋を送り出した後は軌条桁を引き戻し、トラス橋と橋脚の間にある軌条桁分の隙間を降下装置を使ってトラス橋を降ろすことで解消しました。
現在は降下装置の一方(淡路駅側)は解体され、じきにもう一方(下新庄駅側)も解体するそう。その後京都線用のトラス橋も設置するようです。
前回の視察時には送り出し用の軌条桁と降下装置、送り出す前のトラス橋(写真右外にあります)がありました。
JR淡路駅の西口から出てすぐの場所に来ました。
こっちから眺めても迫力がすごいなあ!
千里線に沿って下新庄方面に進みました。ここでは直上施工で工事が進んでいます。
前回の視察時とあまり変化はありませんね。
第5工区 -淡路駅~上新庄駅-
第5工区では現在の路線の横に構造物を作る「別線施工」工法が用いられています。
府道14号との交差点です。この付近から現在の本線から分離して、上下線が別れていきます。
2層構造になっているのが分かりやすいと思います。
また以前の取材時から、この写真のように第5工区では道路と立体交差しない部分を優先的に建設して交差部は後回しにしている印象が個人的にはありました。
ですが今回の取材時には場所によっては道路を閉鎖して桁を架けている部分も確認できました。
上の写真だとちょうどクレーンに重なっているところです。
第6工区 -柴島駅周辺-
第6工区は「別線施工」と「仮線施工」で工事が進んでいます。仮線施工は、現在の路線の横に仮線を作り、それによりできた空き地に構造物を作る工法です。
柴島駅は、2面2線ホームから1面2線のホームに変更される予定です。地上線路の反対側へと線路が広がっていく形になるのでホームの位置が分かりづらいですが、現在の柴島駅とほぼ同じ位置にホームができる予定です。
前回の視察時には移設前の線路が残っていました。今後はこの土地を利用して高架線が建設されていきます。
阪急千里線の工事区間では南端にある、淀川に架かる淀川橋梁の接続部に来ました。左側の高架は工事のために一時的に作られた仮線で、正面の構造物が途切れている部分は元々線路があった部分であり、今後新しい線路が敷かれる部分になります。断面の色が違う部分は、元々橋脚で空洞だったところを補強のためにコンクリートで埋めたようです。
第7工区 -下新庄駅周辺 & 新幹線超え-
前回の記事で新幹線との交差区間は第4工区と書いていましたが、正しくは第7工区に含まれていました。ここに訂正してお詫びします。
阪急千里線と東海道新幹線が交差する地点です。高架化するにはどうしても新幹線を超えるしかありません。そのためこの周辺の高架はかなり高い位置になります。新幹線を渡ってすぐにある下新庄駅のホームの高さは25mになります。
前回の視察時とあまり変化はありませんね。
第7工区は依然として工事が進んでいるように感じません。他の工区に比べて工事区間が短いため間に合うのかもしれませんが…
第8工区 -下新庄駅~吹田駅 & 橋の架け替え-
ここも見どころ!神崎川橋梁に来ました。手前に新しい橋脚がありますよね。
橋を「仮線施工」で架け替えます。まず元々使われていた橋の横に仮の橋を架けて、旧橋を撤去。その後、旧橋の跡地に新しい橋を架ける大工事になります。なんといっても2回も橋を架けることになるのが驚きですよね。
前回の視察時には新旧の橋脚が並んで立っていました。この半年の間に旧橋脚は撤去されてしまったようです。前回の記事でも書きましたが、140年の歴史がある貴重な遺産でした。
以上で終了になります!
大阪メトロポリスでは今後も「阪急電鉄京都線・千里線(淡路駅付近)連続立体交差事業」を追っていきます!
引用・参考文献
大阪市建設局「淡路駅付近連続立体交差事業だより vol.12」
鹿島建設「October 2020:THE SITE | KAJIMAダイジェスト」
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