【2022.03.17追記】千里中央駅の分岐器の行方について加筆修正しました!
大阪メトロ御堂筋線と相互直通運転を行っている北大阪急行南北線では千里中央のその先、箕面方面への延伸に向けて建設工事を行っています。現在2023年度開業を目標に着々と工事が進んでいます。
そこで気になるのは運行ダイヤです。
SNSでも度々「延伸後に千里中央折り返しはある?ない?」論争が議題にあげられますが、実はこの議論は公式的にすでに決着・公表されていたのです。(まあ工事が始まってる時点で当然と言えば当然ですがね笑)
今回は、箕面市がこれまでに行ってきた運行計画の議論にあがった検討案についてまとめました。
これは結構知られておらず、現在のところ詳しくまとめているところも少ないので必見です!
延伸後に千里中央折り返しはある?
まずタイトルの通りに結論を言うと、千里中央駅での折り返し運行はありません!
つまり、千里中央に来る全列車が箕面萱野駅まで乗り入れることになっています。
これは箕面市が開催した「北急延伸と周辺まちづくりに関する市民説明会」での質疑応答にて明らかになっています。
箕面萱野駅へ乗り入れる電車本数について質問があり、現在の千里中央駅に乗り入れている全ての電車が箕面萱野駅まで乗り入れる旨を説明しました。
箕面市「令和元年度市民説明会の実施結果」
また平成30年度の説明会でも同様の発言を確認しています。
半分を千里中央折り返しで「決定」していた時期もあった
事業許可も基本合意もする以前より、延伸計画に一番熱心だったのは箕面市でした。そして当時箕面市は運行計画について様々な案を検討していましたが、平成19年3月の報告書では「運行本数の半分を千里中央折り返しで計画していた」のです。
(前略)需要と輸送力、コスト等を踏まえると、千里中央で折り返し線を 1 線設置し、現行運行本数の 2 本に 1 本が新箕面まで乗り入れるピーク時 8 分ピッチ(オフピーク時 15 分ピッチ)の運行間隔が妥当と考えられる。
箕面市「北大阪急行線延伸整備計画策定調査 報告書(平成19年3月)」P.60
当時は「全車両を箕面萱野まで乗り入れ」案よりも有力になっています。
なお折り返し線については検討段階での平面図も公開されています。
駅から約180mの部分は千里中央駅開業時から(延伸を見越して)設置されており、前提としてその部分を改造することはないようです。そのため折り返し線は駅から少し離れた位置になっています。
またこの折り返し線については「長期的に見て折り返し線の有無で大きなコスト差がないならば、折り返し線を設置した方がダイヤ設定の自由度が高まるのではないか」(第 3 回 北大阪急行線延伸検討委員会の指摘事項と対応方針より要約)という意見もあったようです。
ちなみにこの折り返し線を追加で設置するとなると、工事費が70億円上乗せになるそうですよ。
他にも検討されていた運行計画
上の「千里中央折り返し」案以外の検討案もあります。
あらゆる可能性を検討している様子がうかがえます。読んでいて楽しかったです笑
千里中央ホームで折り返し案
ホーム内での折り返し案には、1番線のみで折り返しする案と、1,2番線を併用して折り返しをする案の2種類があります。
「1番線のみ」案は箕面方面からやってくる列車との交錯がネックになりそうですが、乗客には分かりやすいですよね。
「1,2番線を併用」案は箕面方面からやってくる列車との交錯は避けられそうですが、乗客には分かりにくくなってしまいます。
どちらも一長一短な感じです。
最終的にはこの案は現在の御堂筋線・北急線のダイヤを維持しながらのダイヤ設定は不可能だと結論付けています。
本線折り返し案
なんと本線上で折り返す案も検討されていました。そしてしれっと千里中央北側(箕面萱野方)に片渡り線が新設されています。ちなみに現在、大阪メトロ・北大阪急行のどちらでも、通常ダイヤで本線上での折り返しはありません。
この案は現在の御堂筋線・北急線のダイヤを維持しながらのダイヤ設定は不可能だと結論付けています。(理由は不明)
上で現在のところ本線折り返しは実施していないと書きましたが、2020年12月17日の御堂筋線送電トラブル時には、天王寺駅の西側(千里中央方)で本線折り返しを実施したこともありました。
ピーク時全数乗り入れ、昼間帯半数乗り入れ案
ダイヤが密なピーク時には(折り返す余裕がないため?)全車両を箕面萱野まで乗り入れ、ダイヤに余裕がある昼間帯には半数の車両を1番線にて折り返すという案です。
これは状況によって乗り入れ本数を調整できるバランスのとれた案だと思います。
実際にこの案は、平成21年11月時点で最有力な案でした。(最後にも書いていますがこの案が有力になった後に現在の案へと変更された文章を管理人は見つけられていません。)
千里中央で連結解放案
管理人はこれが一番の驚きでした!
平成19年3月報告書の「千里中央折り返し」案にて、前提条件としてこのような内容が書かれていました。
列車編成数については、現行の 10 両から変更しない。(ピーク時 4 分程度の運行間隔の中で、車両の連結・解放作業が伴う運行は困難*である。
箕面市「北大阪急行線延伸整備計画策定調査 報告書(平成19年3月)」P.60
そしてこの「千里中央で連結解放」案はこのように軽く書かれていますが、実は結構真面目に検討して不可能性が証明されているのです。
簡単にまとめるとこんな感じです。
- 車両の連結解放を行うためには、駅での貫通路の確保・閉鎖作業が必要だが、4~5分程度の時間が必要で、ラッシュ時には時間が確保できない。
- 連結解放を行うためには、北急を走る全編成(メトロ車込み)に新たに先頭車が必要となりコストアップが課題となる。
- 分割した2編成それぞれに運転要員が必要となり、増員が課題となる。
- 連結解放を行うためには、誘導信号等の追加設備が必要となる。
- 分割した後方車両を入線させる引上線が必要となる。
詳しくはこちらから。
なおこの内容についてツイートしたところ、大変多くの反応を頂きました。ありがとうございます!
なぜ「全車両乗り入れ」案に決まったのか。
色々な案が検討されたのち、現在の最終的に「全数乗り入れ」案に決定したわけですが…
管理人はなぜ「全車両乗り入れ」案に決まったのかが分からないのです。
管理人の把握している中では、
①「運行本数の半分を千里中央折り返し」案が最有力(平成19年3月)
②「ピーク時全数乗り入れ、昼間帯半数乗り入れ」案が最有力(平成21年11月)
③「全数乗り入れ」案で決定(←いつ決まった???)
という状況です。
色々な文献を探しているのですが見つからないんですよねえ。というか、明確に全車両乗り入れについて記載した資料が見つからず、なくなく記事冒頭では説明会での質疑応答を引用しました。
もしこれについて明確な資料を見つけられた方はぜひご連絡ください。
【追記】千里中央駅の分岐器は撤去
さらに延伸開業後は全車両が箕面萱野まで乗り入れることから、千里中央駅の分岐器の撤去も行われるようです。
これは箕面市の市民説明会にて明らかになっています。
千里中央駅での折り返し運行の検討についてご意見があり、千里中央駅に設置されている分岐器が無くなるため、千里中央駅での折り返し運転はできなくなる旨を説明しました。
箕面市「令和3年度市民説明会の実施結果」,2022.03.17閲覧.
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参考文献
箕面市「令和元年度市民説明会の実施結果」
箕面市「北大阪急行線延伸整備計画策定調査 報告書(平成19年3月)」(PDFが分割されているためまとめページに飛びます)
箕面市「北大阪急行線延伸整備計画深度化調査 報告書(平成21年11月)」(PDFが分割(略))
箕面市「第3回 北大阪急行線延伸検討委員会の指摘事項と対応方針」第4回北大阪急行線延伸検討委員会 資料
箕面市「資料-3運行サービス・運賃水準の検討」第2回北大阪急行線延伸検討委員会 資料
コメント
増解結については、可能性を排除する目的で作文しただけでしょう
最初からやる気はなかったと思いますよ