大阪モノレールは本線の南端、門真市駅のその先、瓜生堂方面への延伸に向けて、現在工事が進んでいます。今回はこの延伸事業についてまとめました!
大阪モノレール延伸まとめ
事業の概要
大阪モノレールは元々、「大阪国際空港(伊丹空港)から大阪中央環状線を経由して境付近までを結ぶ環状路線」計画が発端であるものの、現在開通しているのは「大阪空港~門真市」のみ。当初の計画の半分にも満たない区間しか開業していません。
大阪府は残る区間の延伸に積極的で、「グランドデザイン大阪」に延伸計画が盛り込んだり、ルート検討を進めたりしていました。その結果、瓜生堂までの延伸が決定したということです。
大阪モノレールは既に都心部から放射線状にのびる6つの鉄道路線と接続していますが、延伸後はさらに4路線と接続して合計10路線と乗り換え出来るようになります。
また延伸に合わせて新たに瓜生堂車両基地も建設されます。
延伸区間 | 門真市駅~瓜生堂駅(仮称) 約8.9㎞ |
設置予定駅 5駅 | 松生町 新駅 :門真市松生町1 付近 門真南駅(仮称) :門真市三ツ島2丁目25 付近 鴻池新田駅(仮称):東大阪市西鴻池町2丁目6 付近 荒本駅(仮称) :東大阪市荒本北2丁目3 付近 瓜生堂駅(仮称) :東大阪市瓜生堂3丁目1 付近 |
適用法規 | 軌道法 |
開業目標 | 2029年 |
事業主体 | インフラ部:大阪府 インフラ外部:大阪モノレール株式会社 |
事業費 | 1050億円(うちインフラ部740億円) |
構造形式 | 複線高架形式 |
更なる延伸事業も
大阪モノレールでは他の延伸計画も浮上しています。
まず1つは「彩都東部延伸」です。彩都線(国際文化公園都市モノレール線)は、彩都西駅~東部駅(仮称)~東センター駅(仮称)間の延伸、山手台車庫の新設を計画していました。しかし、2019年3月19日に軌道運輸事業について廃止許可され、計画は中止になりました。
もう1つは「堺方面延伸」です。建設が決定している瓜生堂までの延伸計画に加えて、瓜生堂~堺方面への延伸を計画しています。これは大阪モノレールの初期構想時より計画されていますが、未だに未定。2017年6月8日に堺市が大阪府に要望書を提出するという動きもありました。
建設ルート
松生町 新駅
この駅は当初の延伸計画にはありませんでした。しかし門真市と守口市が府知事らに要望書を提出し、2021年3月に両市、府、大阪モノレールの4者が駅設置に関する基本合意書を締結しました。
この駅がある松生町にはパナソニックの工場跡地があり、「ららぽーと」、「コストコ」の出店や共同住宅の建設が予定されています。この付近は鉄道空白地帯でしたので、この再開発を機に街が大きく変わるでしょう。
駅名は一切公表されていませんが、要望書が門真市・守口市の2市で提出されているため、両市に考慮した駅名になるかもしれません。後から計画された当駅ですが、全線開通する2029年に合わせて開業を目指しています。
門真南駅(仮称)
大阪メトロ長堀鶴見緑地線の同名駅との乗換駅となります。
現在公開されているイメージパースの中では唯一、地上2回建て構造で、ホームが2階でコンコース階が1階の駅です。これは門真ジャンクションが駅上にあるのが理由で、地上の道路と高速道路の間を縫うように駅がつくられます。
鴻池新田駅(仮称)
JR学研都市線の同名駅との乗換駅となります。JRと乗り換え出来る駅は大阪モノレールでは初です。
次に紹介する荒本駅とは違って、乗り換え路線であるJR側には寄らずに府道大阪中央環状線上に駅を設置します。駅方面への道路が無く、周りの道路も狭いため、用地買収が相当多くなることを避けたそう。
それでも乗り換え経路は整備する方向で検討しているそうで、イメージパースにも歩道橋が描かれています。
荒本駅(仮称)
荒本駅は近鉄けいはんな線の同名駅との乗換駅になります。
駅の場所は他の駅とは異なり、府道大阪中央環状線から少し外側にあるイオン荒本店の跡地に建設されます。そのためけいはんな線との乗り換えには比較的便利になりそうです。
また駅周辺には東大阪市役所や府立図書館があります。
瓜生堂駅(仮称)
近鉄奈良線との交差部に建設されます。交差部は「八戸ノ里駅~若江岩田駅」の駅間で現在は駅はありませんが、モノレールの延伸に合わせて近鉄奈良線も新駅開業を検討しているようです。これにより奈良方面へのアクセスが便利になります。
イメージパースでは新駅が開業した近鉄奈良線にまたがるように駅が設置されるようです。駅施設自体が交差しているので、乗り換えの便が非常に良さそうですよね。
瓜生堂車両基地
万博車両基地に続き、大阪モノレール2つ目となる車庫が瓜生堂駅北側に建設されます。本線の駅やレールが地上約10mの高さに位置するのに対して、瓜生堂車両基地は地上階にレールや施設が設置されます。
車両基地内には列車の留置線や検査場などを設置する予定で、車両の増加に対応するほか、災害時には万博車両基地の代替機能として活用することも予定しているそうです。
また日本国内では初の、車庫を2つ設置したモノレールとなるそうです。
事業の歴史
- 2004.10近畿地方交通審議会答申8号において中長期的に望まれる鉄道ネットワークを構成する新たな路線として位置付け
- 2014.01大阪府公共交通戦略において、個別に検討の必要な路線として位置付け
- 2016.01大阪府戦略本部会議において、延伸の事業化について意思決定
- 2018.07.11軌道法による鉄道事業特許を申請
- 2019.03.19軌道法による鉄道事業特許
- 2020.10.30門真市と守口市が新駅設置を求める要望書を大阪府に提出
- 2021.03.31大阪府、門真市、守口市及び大阪モノレール株式会社が、新駅設置に関する基本合意書を締結
門真市駅~門真南駅(仮称)間の松生町工場跡地前に新たな駅を設置。
- 2029.開業予定
引用・参考文献
大阪府「大阪モノレールの延伸事業」
大阪府「大阪モノレール 門真市~瓜生堂間 延伸事業の概要」
大阪府「大阪モノレール延伸事業にかかる都市計画に関する説明会での主な質疑応答」
大阪府・大阪モノレール「大阪モノレール延伸事業」
国土交通省運輸審議会「大阪モノレールからの延伸に係る軌道事業の特許申請事案 配付資料」
堺市「大阪モノレール堺方面延伸に関するシンポジウム-環状ネットワークの構築と沿線地域の連携に向けて-開催記録」
門真市「大阪モノレール門真市駅・(仮称)門真南駅間新駅設置事業」
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