【2023/08/17追記】新線計画の今後について加筆修正、また全体的に体裁修正しました。
阪急電鉄では、大阪駅地下ホームから十三駅を結ぶ新線「なにわ筋連絡線」と十三駅から新大阪駅を結ぶ新線「新大阪連絡線」の2路線を計画しており、なにわ筋線に合わせて2031年開業目標としています。
今回はその計画に迫っていきます!
最新情報!
阪急「なにわ筋連絡線」「新大阪連絡線」まとめ
事業の概要
そもそも「阪急新大阪連絡線」計画は東海道新幹線の建設決定(開業は1964年)を受けて計画された路線です。そして当時のうちに用地取得と準備工事も着手されたものの、なかなか計画は進展せず。現在まで開業には至っていません。
ところが2017年、JR西日本・南海・大阪府・大阪市が計画する「なにわ筋線」に阪急が参加することが明らかになりました。その計画では、なにわ筋線北端のうめきた新駅から十三駅を結ぶ「阪急なにわ筋連絡線」の建設が検討されていることが初めて明らかにされました。また、この新線と「阪急新大阪連絡線」を一体的に整備することが計画されています。
2019年には阪急・JR西日本・南海の3社が、この2線の事業化を検討開始することで合意したと発表されました。今後は大阪府・大阪市と協議し、正式に国土交通省に事業許可を申請する予定です。
営業事業者 | 阪急電鉄 |
整備事業者 | 未定 |
路線名 | なにわ筋連絡線・新大阪連絡線 |
事業区間 | うめきた新駅~十三駅(なにわ筋連絡線) 十三駅~新大阪駅(新大阪連絡線) |
事業延長 | 約 2.5km(なにわ筋連絡線) 約 2.1Km(新大阪連絡線) |
単線複線 | 複線 |
建設費 | 約870億円(なにわ筋連絡線単独) 約590億円(新大阪連絡線単独) 約1310億円(2線同時整備、約150億円抑制) |
開業時期 | 未定 |
建設ルート
「なにわ筋連絡線」は、JR西日本が現在建設中のうめきた新駅から北西に分岐し、阪急3線に沿って淀川を渡り十三駅へつながる路線で、完全地下路線で計画されています。
完全地下路線のため淀川の下をくぐることが想定されます。JR東西線、大阪メトロ今里筋線に次ぎ3番目の淀川をくぐるトンネルになりますね。
阪急の線路幅は「標準軌」です。しかし、なにわ筋連絡線がうめきた新駅に乗り入れるには、JR,南海と同じ線路幅の「狭軌」にて建設する必要があります。その場合、「なにわ筋連絡線」は阪急他線と乗り入れすることができない完全に独立した路線になります。
「新大阪連絡線」は、十三から宝塚線に沿って北上し、山陽新幹線の交差部付近で右折。新幹線の北側を並行して新大阪駅へと向かう路線で、完全地下路線で計画されています。
また、なにわ筋連絡線と新大阪連絡線は相互乗り入れ(一体のダイヤで運行)することが検討されています。
大阪駅 地下ホーム
大阪駅地下ホームはJR東海道本線支線(梅田貨物線)に新設される駅で、特急「はるか」「くろしお」やおおさか東線が乗り入れています。
また、2031年度春開業予定の「なにわ筋線」の北端の終点駅になる予定です(運行上は新大阪まで乗り入れる)。開業後はJRだけでなく南海も共同でうめきた新駅を使用することにあります。
さらに阪急がうめきた新駅に乗り入れると、JR西日本・南海・阪急の共同使用駅となります。
十三駅
神戸線・宝塚線・京都線の主要3線と連絡する阪急の主要ターミナル駅です。
「なにわ筋連絡線」の十三駅は現駅の直下に地下駅として建設されることが計画されています。エレベーター等でスムーズに乗換ができるように検討が進んでいます。
新大阪駅
新幹線ホームの北側に並行して設置される予定の地下駅です。
当初の計画では御堂筋線の上を通り、御堂筋線とJR在来線ホームの間に駅を設置する計画でした。現在その場所には新大阪阪急ビルが建設されており、駅を設置することはできません。また、御堂筋線との交差部分は後に線路を敷けるように準備施設が建設されていたが、新幹線ホーム増設に伴って一部が使えなくなってしまっています。
現在の計画では「新大阪連絡線」のホームは御堂筋線の西側に建設されることになる予定です。キャプテン翼スタジアム新大阪があるところですね。
【追記】キャプテン翼スタジアムが撤退…この真意は…。
車両はどうなる?
新型車両を南海と共通仕様で新造し、南海にメンテナンスを依頼するようです。つまり阪急が狭軌用の新型車両を製造するということです。
阪急のシンボルである『マルーンカラー』にはしたいそうで、マルーンの車両が南大阪・関西空港を走ることになるそうです。
メンテナンスを任せるということは、阪急線内に車両基地が新設されることはないということでしょうか…?
採算性は良好
あくまでも「なにわ筋線」の開業が前提ですが、「なにわ筋連絡線」と「新大阪連絡線」の一体整備した場合、黒字転換までに13~16年かかると試算されています。鉄道は40年以内で黒字転換できるかどうかが基準とされていますので、かなりの優良路線になると考えられます。
また、「なにわ筋連絡線」を単独で整備した場合は24~31年、「新大阪連絡線」を単独で整備した場合は黒字転換に27年。後述する「西梅田・十三連絡線」についても18年と良好です。
いずれにせよ阪急新線は採算性が良好!楽しみでなりませんね!
大阪空港線だけは40年で黒字化が見込めないそうなのであれですが…
新幹線にも阪急新線の跡が
東海道新幹線の計画時から新大阪連絡線も計画されていた経緯から、東海道新幹線の構造物にも新大阪連絡線計画の遺構がのこっています。橋脚の向きが傾いているなどなど、詳しくは以下の画像をクリック。
運行ダイヤ
阪急新大阪・なにわ筋連絡線ではJR西日本の特急「はるか」、南海電鉄の特急「ラピート」とは異なる急行を運行させる方針のようです。
これは訪日客に加えて通勤客を阪急へ取り込む狙いがあるそう。大阪南部と京阪神の移動手段で阪急の優位性を高めたいようですね。
この急行の運行区間は新大阪~関西空港間。1時間あたり6本ほどで運行。
なにわ筋線以南の関空に向かうルートは南海電気鉄道、JR西日本双方の路線への乗り入れを検討しているようです。
移動時間の目安も報道されています。
・関西空港~十三:約57分
・関西空港~神戸三宮:約1時間20分
・関西空港~京都河原町:約1時間35分
逆に考えれば特急「はるか」「ラピート」は、大阪~新大阪間はJR線経由だということですね。優等列車は速達性重視でJRルート、普通列車は乗り換え利便性重視で阪急ルートという棲み分けをする考えでしょうか。
余談ですが、なにわ筋線開業に合わせてJR新大阪駅の改良工事が計画されています。特急「ラピート」「くろしお」用の引上げ線を設置することになっています。
この改良計画が発表された当時は「関空快速・南海特急ラピートの新大阪乗り入れに伴う駅利用客の増加への対応を目的とした改良」と言っていましたが、関空快速は最終的にどのルートを走ることになるのでしょうね…
2本の新線に関する出来事
1961年 | 事業免許(淡路~十三間、新大阪~神崎川間)を取得。 |
1989年 | 運輸政策審議会答申第10号にて、十三~淡路間と、梅田貨物駅の再開発地区(梅田北ヤード)~十三間が「平成17年(2005年)までに工事を着手することが適当な区間」に指定される。 |
2002年12月6日 | 淡路~新大阪間、新大阪~神崎川間の事業許可廃止申請を提出。 新大阪~十三間は工事施行認可申請期限延長。 |
2003年3月1日 | 淡路~新大阪間、新大阪~神崎川間の事業許可廃止 |
2004年8月 | 地下鉄四つ橋線を阪急十三駅まで延伸し、阪急神戸本線との相互直通運転を行う構想を大阪市が検討していることがメディアにより紹介。 |
2004年10月 | 近畿地方交通審議会答申第8号にて、「中長期的に望まれる鉄道ネットワークを構成する新たな路線」として、大阪市営地下鉄四つ橋線の西梅田~北梅田~十三間延伸が盛り込まれる。(今後、「西梅田・十三連絡線」と呼称する) |
2006年2月22日 | 新大阪連絡線の整備空間を確保した上で、新幹線新大阪駅のホーム増設に協力することを発表。 |
2006年5月 | 阪急ホールディングス(現・阪急阪神ホールディングス)の角和夫社長が阪神電気鉄道との経営統合に関連して「新大阪、十三、北ヤード、西梅田をつなぐ路線も可能」とコメント。 |
2006年12月8日 | 阪急電鉄・大阪市・国土交通省が都市鉄道等利便増進法に基づいて「西梅田・十三連絡線」に関する原案を固めたと報道される。「新大阪連絡線」の相互直通運転の可能性も同時に報道。 |
2007年7月9日 | 「新大阪連絡線」新大阪駅建設予定地に新大阪阪急ビルを建設することを発表。 |
2008年4月10日 | 国土交通省による『「速達性向上施策における事業スキームの検討に関する調査」結果 – 西梅田・十三連絡線(仮称)の事業実現化方策に係る深度化調査 – 』にて、「西梅田・十三連絡線」、「西梅田・十三連絡線・新大阪連絡線」のいずれの計画においても事業性が良好であることが発表される。 |
2012年5月8日 | 大阪市が、なにわ筋線に代わり大阪市営地下鉄四つ橋線を延伸し、北を阪急電鉄、南を南海電鉄と接続して、新大阪~関西国際空港間を直結する構想を発表する。 |
2017年3月16日 | 阪急電鉄がJR西日本・南海・大阪府・大阪市の計画する「なにわ筋線」に参加することが報道される。 |
2017年5月25日 | 大阪市関係者が「(なにわ筋連絡線の)調査検討では西梅田・十三連絡線との比較検討も行うことになるだろう」と述べたことが報道される。 |
2019年10月23日 | 2019年には阪急・JR西日本・南海の3社が、この2線の事業化を検討開始することで合意したことを発表。 |
2020年2月5日 | 「なにわ筋連絡線」と「新大阪連絡線」の新規2路線について、阪急・JR西日本・南海の3社が事業化に向けて、大阪府・大阪市との協議を始めたことが報道される。 |
2023年05月15日 | 阪急阪神HDの大塚順一執行役員は会見で、「なにわ筋線」と同じ2031年の開業を目指す方針を示した。 |
2023年08月16日 | 阪急阪神HDの上村専務取締役が取材で、毎時6本の急行を新大阪~間空間で運行したいと発表。 |
引用・参考文献
ABCニュース「阪急電鉄 なにわ筋・新大阪連絡線「2031年開業目指す」 関空アクセス向上へ」(2023.05.16閲覧).
産経新聞「<独自>阪急、2031年に関空直通へ 急行を乗り入れ」(2023.08.17閲覧).
産経新聞「阪急の関空乗り入れ 人の流れ変える 沿線価値も向上へ」(2023.08.17閲覧).
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