阪急電鉄では京都線と千里線の結節点である淡路駅周辺の大規模な高架工事を行っています。
(※うめきた(大阪)地下駅、うめきた新駅、北梅田駅と呼称されていますが、正確には大阪駅の一部として扱うことが決まっています。大阪メトロポリスでは便宜上、うめきた新駅と呼称します。)
この記事では、その計画に迫っていきます!
阪急高架工事まとめ
事業の概要
この工事「阪急電鉄京都線・千里線(淡路駅付近)連続立体交差事業」は、淡路駅付近の約7.1kmにおいて鉄道を高架化することで、17箇所の踏切を除却し、都市内交通の円滑化と分断された市街地の一体化による都市の活性化を図るものです。また、淡路駅周辺の地域は土地区画整理事業も同時に行うことで、まちづくりを進めています。
1997(平成9)年より用地取得が始まり、2008(平成20)年より工事が開始しました。2024(令和6)年度高架切替、2027(令和9)年度事業完了予定(当初より7年遅れ)ということで、まさに大工事ですね。用地取得に関しては管理人が産まれる前から始まっています…
2019(平成31)年4月1日現在では工事は48%(工事費から算出)進んでいる現在においても、用地取得がまだ97%しか完了していません。これが工期の遅れを生んでいるようです。
事業主体 | 大阪市 |
事業内容 | 連続立体交差事業 |
所在地 | (京都線)東淀川区上新庄1丁目~東淀川区柴島1丁目 (千里線)吹田市南清和園町~東淀川区柴島2丁目 |
延長 | 7.1km |
踏切除却数 | 17箇所(うち1箇所は吹田市域) |
高架駅数 | 4駅(崇禅寺駅、淡路駅、柴島駅、下新庄駅) |
付属街路 | 8路線、L=5.9km、W=6~10m |
除却される踏切(17箇所)
今回の事業の目的の1つでもある踏切除却。今回の事業では17箇所の踏切が除却されます。
1 | 飛鳥橋踏切 | 10 | 学童踏切 |
2 | 大宮橋踏切 | 11 | 住宅踏切 |
3 | ハラカイ踏切 | 12 | 国次踏切 |
4 | 一小川踏切 | 13 | 千里北陽踏切 |
5 | 善隣社踏切 | 14 | 鳩ヶ瀬踏切 |
6 | 北陽踏切 | 15 | 五田名北踏切 |
7 | 柴島踏切 | 16 | 下新庄踏切 |
8 | 大宮通踏切 | 17 | 支線神崎川北踏切 |
9 | 濾過池踏切 |
建設ルート・8つの工区
今回の事業区間は上図の赤色部分です。単純に高架化されるだけなので、大幅なルート変更や、駅の新設・廃止・統廃合などは一切ありません。
淡路駅だけでなく、崇禅寺駅、柴島駅、下新庄駅も合わせて、計4駅が高架化されます。各駅の詳細については下でも説明していきます。
またこの工事では8つの工区に分けることで、多数の事業者が同時に工事を進めて効率的に事業を進めています。
工区によって進捗はさまざまですが、完成に向けて着々と進んでいます。
工区 | 区間概要 | 事業者 |
---|---|---|
第1工区 | 崇禅寺駅周辺 | 西松建設・佐藤工業・鉄建建設JV |
第2工区 | 崇禅寺駅~淡路駅 | 奥村組・錢高組・熊谷組JV |
第3工区 | 淡路駅周辺 | 大林組・ハンシン建設JV |
第4工区 | 淡路駅~下新庄駅 JR おおさか東線 交差部 | 鹿島建設・戸田建設JV |
第5工区 | 淡路駅~上新庄駅方面 | 森組・清水建設・フジタJV |
第6工区 | 柴島駅周辺 | 鴻池組・竹中土木・青木あすなろ建設JV |
第7工区 | 下新庄駅周辺 東海道新幹線 交差部 | 大成建設・間組JV |
第8工区 | 下新庄駅~吹田駅方面 神崎川 交差部 | 飛鳥建設・前田建設工業・淺沼組JV |
「JV」は joint venture(ジョイントベンチャー)の略で、建設業において、複数の企業が一つの建設工事を受注・施工することを目的に組織する共同企業体のことを指します。
淡路駅
淡路駅は「別線施工」工法で、現在の淡路駅の横に高架化されます。高架後は現在の2面4線ホームから1面2線ホーム2層構造に変更される予定です。
現在の淡路駅は京都線・千里線が地上で平面交差しており、駅の前後では電車の信号待ちが頻発し、非常にボトルネックとなっています。その線形を解消する側面もこの工事にはあります。
また、淡路駅は全長約30mの巨大な駅となります。というのも、淡路駅の東側で京都線・千里線ともにJRおおさか東線と立体交差しています。現在は阪急が下でJRが上ですが、阪急を高架化するためには既に高架化しているJRよりもさらに上に線路を建設しないといけないわけです。JR西日本と協議を重ねた結果、おおさか東線の6.0m以上を確保することになり、現在の高さに決まったそうです。
淡路駅での新旧配線についてはこちらで紹介しています!
崇禅寺駅
崇禅寺駅は「直上施工」工法で、現在の地上駅の直上に高架化されます。高架後も現在と同じく2面2線ホームの予定です。
また崇禅寺駅は元々地下改札でしたが、工事の進捗に合わせて各ホームの仮設地上改札に移設しています。
柴島駅
柴島駅は「別線施工」工法で、現在の柴島駅の横に高架化されます。高架後は2面2線ホームから1面2線ホームに変更される予定です。
下新庄駅
下新庄駅は「別線施工」工法で、現在の下新庄駅の横に高架化されます。高架後は2面2線ホームから1面2線ホームに変更される予定です。
また、下新庄駅は全長約25mの巨大な駅となります。この理由は淡路駅と似ていて、下新庄駅の南側で東海道新幹線と立体交差しているからです。現在は阪急が下で新幹線が上ですが、阪急を高架化するためには既に高架化している新幹線よりもさらに上に線路を建設しないといけないわけです。JR東海と協議を重ねた結果、東海道新幹線の8.0m以上を確保することになり、現在の高さに決まったそうです。
鉄道模型シミュレーターで再現
実際にこの現場を鉄道模型シミュレーターNX(VRM-NX)で再現してみました!なんとなくイメージがつくと思いますので是非見てみてください!
工事の経過記録
当サイトでは、阪急淡路高架工事の記録を定期的に行っています。実際の現場もぜひご覧ください!
2020年6月取材【前編】
2020年6月取材【後編】
2021年2月取材
2021年4月取材
事業の歴史
- 1994.12.24都市計画 決定
- 1997.01.24都市計画事業 認可
- 1997.用地買収 着手
- 2008.09高架化工事 着手
- 2015.10.13事業期間の見直しを発表
用地取得の遅れから、事業期間の7年延長を発表。
高架切替:2017年→2024年
全体完成:2020年→2027年 - 2024.高架工事 完成、現在線撤去 着手、側道整備工事 着手(予定)
- 2027.事業完了(予定)
引用・参考文献
大阪市「阪急電鉄京都線・千里線(淡路駅付近)連続立体交差事業」
大阪市「阪急電鉄京都線・千里線連続立体交差事業の事業期間の見直しについて」
電気車研究会「鉄道ピクトリアル 臨時増刊号 阪急電鉄 2010年 08月号」
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