なにわ筋線の事業費が大幅に増加することが明らかになり、ニュースなどでも大きく取り上げられています。
大阪市が2026年8月に公表した資料によると、なにわ筋線の総事業費は、当初の3,291億円から6,425億円へ増加する見込み。増額は3,134億円で、このうち約7割を物価高騰や地価上昇が占めています。
そんな今回の資料ですが、詳細を見ていくと新大阪駅の京都方に新設予定の「引上げ線」について、設置予定位置の変更も含まれていました。

事業費の増額もかなり大きな話なのですが、配線鉄の身としては配線の変更も気になりました。
当ブログでは2022年にも、なにわ筋線の整備に伴う新大阪駅のホーム・引上げ線新設について紹介しています。
今回は以前の計画と比較しながら、何が変わったのか見ていきます。
新大阪駅ではホーム・引上げ線を新設予定

なにわ筋線の整備に関連して、JR新大阪駅では大規模な改良が計画されています。
これまで公表されていた計画では、現在の0番のりばと1番のりばの間に新たなホームを設置するほか、新大阪駅の京都方に南海特急「ラピート」、特急「くろしお」を折り返すための引上げ線を新設することになっていました。
ところが、今回大阪市から公表された資料では、この新設予定の引上げ線の位置が変更されています。
引上げ線の設置位置を京都方へ変更

大阪市によると、事業着手後に改めて測量したところ、当初想定していた位置では引上げ線が用地内に収まらないことが判明しました。

そのため、引上げ線の設置位置を京都方へ見直すことになりました。また、位置変更に伴って盛土工事と橋梁工事の追加が必要となりました。
大阪市の資料では、引上げ線に関する事業費は30億円から55億円となり、今回の変更による増額は25億円とされています。なにわ筋線全体の3,134億円という増額から見れば一部分ですが、事業着手後の測量によって、具体的な配線計画にも変更が生じていることが分かります。
「用地内に収まらない」のはなぜ?
では、当初の計画では、どの部分で引上げ線が用地内に収まらなかったのでしょうか。
大阪市の資料では、具体的にどの場所や構造物が支障したのかまでは明らかにされていません。
ただ、新旧の計画図と現地の状況を見比べてみると、少し気になるところがあります。
新大阪~東淀川間には線路を跨ぐ日之出跨線歩道橋があり、さらに東淀川駅には線路の東西を結ぶ自由通路が設けられています。この自由通路は、東淀川駅周辺にあった南宮原踏切・北宮原踏切の廃止に伴い、その代替となる通路として2018年に整備されたものです。JR西日本によると、自由通路は地上7m、幅6m、長さ60mで、階段やスロープ、エレベーターなどが設けられています。


今回の資料を見て、このあたりの構造物が真っ先に気になりました。線路を増やせそうなスペースはあるものの、階段や柱などを見ると意外と余裕がなさそうなんですよね。
大阪市が示した新旧の計画図を比較すると、変更後の引上げ線は京都方へ移り、これらの構造物を避けるような配置にも見えます。

現地で見たときは「線路を増やすスペースは一応ありそう」と感じていました。ただ、今回「用地内に収まらない」と明記されたのを見て写真を見返すと、「確かに若干足りないのかも……?」とも感じます。
ただし、自由通路や日之出跨線歩道橋が、今回の位置変更に直接関係しているのかは資料から確認できません。あくまで推測ですが、今後詳細な設計図などが公表されれば、「用地内に収まらない」とされた具体的な場所も分かってくるかもしれません。
新大阪~東淀川間の配線はどう変わる?
今回の変更で興味深いのは、新大阪駅構内だけでなく、新大阪~東淀川間の将来の線路配置にも変化が生じることです。
以前の計画では、このような配線を想定していました。


一方、今回の資料をもとに作成した配線図がこちら。


引上げ線の設置位置が京都方へ見直されたことで、従来の計画よりも引上げ線が新大阪駅より離れている形となります。また、従来は梅田貨物線(おおさか東線)の上下線に挟まれるように引上げ線が計画されていましたが、上下線の外(北方貨物線側)に設置される計画に変更となっています。

「京都方へ変更」と聞くと少し分かりにくいですが、配線図にしてみると少し離れたことが分かります。

新大阪駅では新たなホームの設置も予定されており、なにわ筋線の開業に向けて、駅周辺の配線は大きく変化することになります。
今後さらに詳細な計画が明らかになれば、配線図についても随時更新していきます。
まとめ
今回は、大阪市が2026年8月に公表した資料から、新大阪駅に新設予定の引上げ線について見てきました。
事業着手後の測量によって、当初想定していた位置では引上げ線が用地内に収まらないことが判明。そのため、引上げ線の設置予定位置を京都方へ見直すことになりました。位置変更に伴って盛土・橋梁工事も追加され、引上げ線に関する事業費は30億円から55億円へ増加しています。また、なにわ筋線全体の総事業費についても、当初の3,291億円から6,425億円へ増加する見込みとなりました。
大幅な事業費増額に注目が集まる一方、詳細を見ていくと、新大阪駅の配線計画にもこうした変更が生じています。今後工事が進んでいけば、新大阪~東淀川間でも少しずつ変化が見えてくるかもしれません。
引き続き、資料と現地調査の両方からこの工事を追っていきますよ!
参考資料
大阪市「令和8年度第2回(第19回)大阪市大規模事業リスク管理会議 資料1 なにわ筋線整備事業」,2026.8.18(2026/08/06閲覧).
JR西日本「東淀川駅を橋上化し、駅付近の『開かずの踏切』を廃止します」,2018.9.19(2026/09/06閲覧).
垣内祐輝・北村将之「なにわ筋線建設に伴う既存駅(新大阪、JR難波)改良計画」建設技術,2022,35号,pp.29-32.
今後の鉄道イベント情報(鉄道コムより)




コメント