( この記事は2020年5月29日に公開した記事を加筆修正したものです。)
Railway wiring diagram (Osaka Metro short-circuit wire)
連絡線/短絡線
Wikipedia日本語版「連絡線」(2022/10/16閲覧).
他の路線同士を接続するための線路に対する名称。遠回りすることなく路線同士を結ぶためのものは短絡線(たんらくせん)とも呼ばれる。
駅構内の渡り線のような小規模なものから、デルタ線の一辺となっているもの、独立した路線となっているものまで、形態や規模はさまざまである。しかし連絡線自体が主要な路線に位置づけされることは少ない。
鉄道には車両を滞泊させたり検査などを行う車両基地があります。車両基地には莫大な土地が必要になるため、各路線ごとに車両基地を設置するのは容易ではありません。
特に大阪メトロは都市部を走る鉄道で郊外を走る区間も短いので、なおさら車両基地の設置は難題です。
そこで、路線は違うけど車両基地をまとめてしまおう!と設置されたのが、連絡線なのです。
大阪メトロ連絡線・短絡線 配線図
大阪メトロの線路は4種類
そもそも大阪メトロの線路には4種類あるのをご存じでしょうか。
①第三軌条方式:走行用にある2本のレールの脇に、3本目のレールがある方式です。この3本目のレールは車両に電気を送るためにあるんですね。御堂筋線・谷町線・四つ橋線・中央線・千日前線がこの第三軌条方式です。
②架線集電方式:線路の上にある架線から車両に電気を送る方法です。パンタグラフがあるやつで、日本ではよく見られますね。堺筋線がこの架線集電方式です。(相互直通運転している阪急に合わせたそうです。)
③リニアモーター:リニアモーターで動く方式です。リニア新幹線みたいに浮くタイプとはちょっと違います。長堀鶴見緑地線・今里筋線がリニアモーターです。
④新交通システム:今回はAGTという種類を指しています。レールの両壁にも案内レールがあり、ゴムタイヤで走行します。しかも自動運転なんですね。ニュートラム(南港ポートタウン線)が新交通システムです。
また、同じ種類の線路同士は連絡線を通してつながっています!
連絡線配線図
大国町駅(御堂筋線-四つ橋線)
第三軌条方式の御堂筋線と四つ橋線は、大国町駅の前後にある渡り線で繋がっています。
南側(動物園前・花園町方)は四つ橋線開業時(1942年)から存在していたものです。一方で北側(なんば方)は四つ橋線の西梅田延伸時(1965年)に線形改良され、現在の姿となっています。
2路線の直通運転が計画されていた(未実施)ほか、緑木検車場の開設までは四つ橋線車両は御堂筋線の車両基地を使用していたため、渡り線が使用されていました。
緑木検車場・車両工場の開設後からは各路線で車両基地を持ったものの、御堂筋線車両の大規模検査を緑木車両工場で行うようになったため、現在もこの渡り線が使用されています。
動物園前・花園町 方面
本町駅付近(四つ橋線-中央線)
第三軌条方式の四つ橋線と中央線は、本町駅の近くの連絡線で繋がっています。
建設されたのは2015年。大阪メトロの中ではまだまだ歴史が浅い区間です。
本町連絡線の開通前は第三軌条方式の線路の中でも、「御堂筋線・四つ橋線グループ」と「谷町線・中央線・千日前線グループ」の2グループは線路が分断されており、それぞれのグループを越えて車両を移動することはできませんでした。
しかし、「谷・中・千グループ」の車両の全般検査・重要部検査を行っていた森之宮車両工場の老朽化を機に、同工場を廃止して「御・四グループ」の緑木車両工場に検査を一元化することに。
そこで必要となったのが2グループをつなぐ連絡線。四つ橋線と中央線の交差する本町駅付近に設置されたのがこの本町連絡線です。
中央線と並行する阪神高速の橋脚を避けるように設計したため、四つ橋線から分岐した後に一度中央線と立体交差してから中央線に接続するというルートになっています。
四つ橋線接続部
谷町四丁目駅付近(谷町線-中央線)
第三軌条方式の谷町線と中央線は、谷町四丁目駅の近くの連絡線で繋がっています。
連絡線は谷町線開業時(1967年3月)に設置されたものですが、まだ中央線の当区間は建設中でした。
半年後(1967年9月)に中央線谷四~森ノ宮間・森之宮検車場が開業し、谷町線の車両基地として森之宮検車場を使用することになったため、連絡線も使用されるようになりました。
阿波座駅付近(中央線-千日前線)
第三軌条方式の中央線と千日前線は、阿波座駅の近くの連絡線で繋がっています。
連絡線は千日前線開業時(1969年)に設置されたもので、検車業務で中央線の港検車場(廃止)へ車両を回送するために使用されていました。中央線の東西貫通後は千日前線の車両基地として森之宮検車場を使用することになったため、毎日何編成も連絡線を使用して車両が行き来されるようになります。
千日前線接続部
鶴見検車場工場連絡線(長堀鶴見緑地線-今里筋線)
リニアモーター方式の長堀鶴見緑地線と今里筋線は、それぞれの車両基地同士が連絡線によって接続されており、国内でも珍しい工場連絡線となっています。
花博記念公園の南端にある長堀鶴見緑地線の鶴見検車場と、同公園の北端にある今里筋線の鶴見緑地北車庫を結ぶため、工場連絡線の全長は約2キロメートルと非常に長いです。
連絡線が設置されたのは今里筋線が開業した2006年。今里筋線の計画当初から車両の大規模検査は長堀鶴見緑地線の鶴見検車場で行う予定で、2路線の車両基地どうしをつなぐ構造になっています。
余談ですが、2路線の営業路線が交差する蒲生四丁目に連絡線を設置しなかった理由は、十分な用地が確保できないからです。
引用・参考文献
大阪市交通局「大阪市地下鉄建設五十年史」,1983.
照井一史,中西平「第3・4号線車両回送用連絡線の線形及び構造設計について」,交通局第37回業務研究発表会(土木部門),2010.
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