【2022/12/04追記】新線計画の今後について加筆修正、また全体的に体裁修正しました。
阪急電鉄では、うめきた新駅から十三駅を結ぶ新線「なにわ筋連絡線」と十三駅から新大阪駅を結ぶ新線「新大阪連絡線」の2路線を計画しています。
(※うめきた(大阪)地下駅、うめきた新駅、北梅田駅と呼称されていますが、正確には大阪駅の一部として扱うことが決まっています。大阪メトロポリスでは便宜上、うめきた新駅と呼称します。)
今回はその計画に迫っていきます!
阪急「なにわ筋連絡線」「新大阪連絡線」まとめ
事業の概要
そもそも「阪急新大阪連絡線」計画は東海道新幹線の建設決定(開業は1964年)を受けて計画された路線です。そして当時のうちに用地取得と準備工事も着手されたものの、なかなか計画は進展せず。現在まで開業には至っていません。
ところが2017年、JR西日本・南海・大阪府・大阪市が計画する「なにわ筋線」に阪急が参加することが明らかになりました。その計画では、なにわ筋線北端のうめきた新駅から十三駅を結ぶ「阪急なにわ筋連絡線」の建設が検討されていることが初めて明らかにされました。また、この新線と「阪急新大阪連絡線」を一体的に整備することが計画されています。
2019年には阪急・JR西日本・南海の3社が、この2線の事業化を検討開始することで合意したと発表されました。今後は大阪府・大阪市と協議し、正式に国土交通省に事業許可を申請する予定です。
営業事業者 | 阪急電鉄 |
整備事業者 | 未定 |
路線名 | なにわ筋連絡線・新大阪連絡線 |
事業区間 | うめきた新駅~十三駅(なにわ筋連絡線) 十三駅~新大阪駅(新大阪連絡線) |
事業延長 | 約 2.5km(なにわ筋連絡線) 約 2.1Km(新大阪連絡線) |
単線複線 | 複線 |
建設費 | 約870億円(なにわ筋連絡線単独) 約590億円(新大阪連絡線単独) 約1310億円(2線同時整備、約150億円抑制) |
開業時期 | 未定 |
建設ルート

「なにわ筋連絡線」は、JR西日本が現在建設中のうめきた新駅から北西に分岐し、阪急3線に沿って淀川を渡り十三駅へつながる路線です。
十三駅は地下に建設する計画ですが、十三駅と淀川までの距離が短いことから淀川の下をくぐることが想定されます。JR東西線、大阪メトロ今里筋線に次ぎ3番目の淀川をくぐるトンネルになりますね。
阪急の線路幅は「標準軌」です。しかし、なにわ筋連絡線がうめきた新駅に乗り入れるには、JR,南海と同じ線路幅の「狭軌」にて建設する必要があります。その場合、「なにわ筋連絡線」は阪急他線と乗り入れすることができない完全に独立した路線になります。
「新大阪連絡線」は、十三から宝塚線に沿って北上し、山陽新幹線の交差部付近で右折。新幹線の北側を並行して新大阪駅へと向かう路線です。
また、なにわ筋連絡線と新大阪連絡線は相互乗り入れ(一体のダイヤで運行)することが検討されています。
うめきた新駅
うめきた新駅はJR東海道本線支線(梅田貨物線)に新設される駅で、地下駅として建設が進んでいます。大阪駅を通過せざる得ない特急「はるか」「くろしお」が大阪駅に停車できるようになります。おおさか東線もうめきた新駅まで乗り入れる予定です。
また、2031年度春開業予定の「なにわ筋線」の北端の終点駅になる予定です(運行上は新大阪まで乗り入れる)。開業後はJRだけでなく南海も共同でうめきた新駅を使用することにあります。
さらに阪急がうめきた新駅に乗り入れると、JR西日本・南海・阪急の共同使用駅となります。
十三駅
神戸線・宝塚線・京都線の主要3線と連絡する阪急の主要ターミナル駅です。
ただ「なにわ筋連絡線」の十三駅は地下駅として建設されることが計画されています。おそらく新線は淀川をアンダーパスすると思われます。
既存三線との乗り換えは少し不便になるかもしれませんね。
新大阪駅
新幹線ホームの北側に並行して設置される予定です。地下・地上・高架駅のいずれの可能性も示唆されています。
当初の計画では御堂筋線の上を通り、御堂筋線とJR在来線ホームの間に駅を設置する計画でした。現在その場所には新大阪阪急ビルが建設されており、駅を設置することはできません。また、御堂筋線との交差部分は後に線路を敷けるように準備施設が建設されていたが、新幹線ホーム増設に伴って一部が使えなくなってしまっています。
したがって、「新大阪連絡線」のホームは御堂筋線の西側に建設されることになりそうです。キャプテン翼スタジアム新大阪があるところですね。
【追記】キャプテン翼スタジアムが撤退…この真意は…。
車両はどうなる?
2017年度の阪急阪神ホールディングスの株主総会にて、「狭軌の車両を作り、相互直通の相手先にメンテナンスを頼む」という旨の発言が角和夫会長よりあったようです。つまり阪急が狭軌用の新型車両を製造するということです。相互直通という話も出ているので、なにわ筋線内で阪急のマルーン車を見れることがかなり期待できます。相互直通相手がJRを指すのか南海を指すのかは分かりませんが、南海だという声がネットではよく見られますね。
メンテナンスを任せるということは、阪急線内に車両基地が新設されることはないということでしょうか…?

ラピートこと南海50000系が阪急線内を走ることが噂されていますが、南海50000系は地下を走ることができないので夢物語になってしまいそうです。(地下トンネルを走るには車両先頭に貫通扉(避難用の扉)を設置する必要があり、南海50000系にはそれがない。)
デザイン変えずにドアだけ付けられればいいのになあ。
(南海はなにわ筋線開業に合わせて新型車両を設計中です。)
採算性は良好
あくまでも「なにわ筋線」の開業が前提ですが、「なにわ筋連絡線」と「新大阪連絡線」の一体整備した場合、黒字転換までに13~16年かかると試算されています。鉄道は40年以内で黒字転換できるかどうかが基準とされていますので、かなりの優良路線になると考えられます。
また、「なにわ筋連絡線」を単独で整備した場合は24~31年、「新大阪連絡線」を単独で整備した場合は黒字転換に27年。後述する「西梅田・十三連絡線」についても18年と良好です。
いずれにせよ阪急新線は採算性が良好!楽しみでなりませんね!
大阪空港線だけは40年で黒字化が見込めないそうなのであれですが…
新幹線にも阪急新線の跡が
東海道新幹線の計画時から新大阪連絡線も計画されていた経緯から、東海道新幹線の構造物にも新大阪連絡線計画の遺構がのこっています。橋脚の向きが傾いているなどなど、詳しくは以下の画像をクリック。
計画が凍結…!?
確定情報ではありませんが、この新線計画は再度消えつつあるかもしれません。
というのも、JR線の新大阪に南海特急が乗り入れる話が濃厚になっています。
ここ数年は公式情報もなく、報道でも話題になることすらありませんからね…。
2本の新線に関する出来事
1961年 | 事業免許(淡路~十三間、新大阪~神崎川間)を取得。 |
1989年 | 運輸政策審議会答申第10号にて、十三~淡路間と、梅田貨物駅の再開発地区(梅田北ヤード)~十三間が「平成17年(2005年)までに工事を着手することが適当な区間」に指定される。 |
2002年12月6日 | 淡路~新大阪間、新大阪~神崎川間の事業許可廃止申請を提出。 新大阪~十三間は工事施行認可申請期限延長。 |
2003年3月1日 | 淡路~新大阪間、新大阪~神崎川間の事業許可廃止 |
2004年8月 | 地下鉄四つ橋線を阪急十三駅まで延伸し、阪急神戸本線との相互直通運転を行う構想を大阪市が検討していることがメディアにより紹介。 |
2004年10月 | 近畿地方交通審議会答申第8号にて、「中長期的に望まれる鉄道ネットワークを構成する新たな路線」として、大阪市営地下鉄四つ橋線の西梅田~北梅田~十三間延伸が盛り込まれる。(今後、「西梅田・十三連絡線」と呼称する) |
2006年2月22日 | 新大阪連絡線の整備空間を確保した上で、新幹線新大阪駅のホーム増設に協力することを発表。 |
2006年5月 | 阪急ホールディングス(現・阪急阪神ホールディングス)の角和夫社長が阪神電気鉄道との経営統合に関連して「新大阪、十三、北ヤード、西梅田をつなぐ路線も可能」とコメント。 |
2006年12月8日 | 阪急電鉄・大阪市・国土交通省が都市鉄道等利便増進法に基づいて「西梅田・十三連絡線」に関する原案を固めたと報道される。「新大阪連絡線」の相互直通運転の可能性も同時に報道。 |
2007年7月9日 | 「新大阪連絡線」新大阪駅建設予定地に新大阪阪急ビルを建設することを発表。 |
2008年4月10日 | 国土交通省による『「速達性向上施策における事業スキームの検討に関する調査」結果 – 西梅田・十三連絡線(仮称)の事業実現化方策に係る深度化調査 – 』にて、「西梅田・十三連絡線」、「西梅田・十三連絡線・新大阪連絡線」のいずれの計画においても事業性が良好であることが発表される。 |
2012年5月8日 | 大阪市が、なにわ筋線に代わり大阪市営地下鉄四つ橋線を延伸し、北を阪急電鉄、南を南海電鉄と接続して、新大阪~関西国際空港間を直結する構想を発表する。 |
2017年3月16日 | 阪急電鉄がJR西日本・南海・大阪府・大阪市の計画する「なにわ筋線」に参加することが報道される。 |
2017年5月25日 | 大阪市関係者が「(なにわ筋連絡線の)調査検討では西梅田・十三連絡線との比較検討も行うことになるだろう」と述べたことが報道される。 |
2019年10月23日 | 2019年には阪急・JR西日本・南海の3社が、この2線の事業化を検討開始することで合意したことを発表。 |
2020年2月5日 | 「なにわ筋連絡線」と「新大阪連絡線」の新規2路線について、阪急・JR西日本・南海の3社が事業化に向けて、大阪府・大阪市との協議を始めたことが報道される。 |
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