【2025.06.08修正】文章の加筆修正・写真の追加を行いました。
( この記事は2020年5月29日に公開した記事を加筆修正したものです。)
Railway wiring diagram (Osaka Metro short-circuit wire)
【2025年最新版】大阪メトロの路線間を結ぶ「連絡線・短絡線」路線図・配線図を掲載。連絡線・短絡線が設置された理由や、路線間の接続構造・位置をわかりやすく解説します。
大阪メトロ連絡線・短絡線 配線図
連絡線・短絡線はなぜどこに?
なぜ連絡線・短絡線が必要なのか
連絡線/短絡線
Wikipedia日本語版「連絡線」(2022/10/16閲覧).
他の路線同士を接続するための線路に対する名称。遠回りすることなく路線同士を結ぶためのものは短絡線(たんらくせん)とも呼ばれる。
駅構内の渡り線のような小規模なものから、デルタ線の一辺となっているもの、独立した路線となっているものまで、形態や規模はさまざまである。しかし連絡線自体が主要な路線に位置づけされることは少ない。
鉄道路線には、車両を滞泊させたり検査などを行うための車両基地・車両工場があります。車両基地には莫大な土地が必要になるため、各路線ごとに車両基地を設置するのは容易ではありません。
特に大阪メトロは都市部を走る鉄道です。郊外を走る区間も短いので、なおさら車両基地の設置は難題です。
そこで「路線が違っても線路規格が同じなら、線路をつなげて車両基地をまとめてしまおう!」という合理化の考えのもと設置されたのが路線間の連絡線なのです。
どこに連絡線・短絡線があるのか
そもそも大阪メトロには4種類の線路しかないのをご存じでしょうか。
※正確には集電方法や交通システムの話です。
①第三軌条方式:3本のレールがある方式。2本は走行用のレールで、1本はは車両に電気を送るためのレールです。
②架線集電方式:車両の上に張っている架線から車両に電気を送る方式。車両の上にパンタグラフが付いているタイプで、日本の鉄道ではよく見られます。
③鉄輪式リニアモーター:リニアモーターで車両を動かす方式です。リニア新幹線みたいに浮くタイプではなく、車輪で動きます。
④新交通システム:種類は多いですが、今回はAGT(案内軌条式鉄道)を指しています。レール両壁の案内レールに沿いながらゴムタイヤで走行します。しかも自動運転です。
そして大阪メトロの路線では同じ線路どうしは連絡線でつながっているのです!具体的な場所は次の図の通りです。
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連絡線は全部で5か所あります。表にまとめると次のようになります。
種類 | 路線 | 接続する連絡線 |
---|---|---|
第三軌条方式 | 御堂筋線 谷町線 四つ橋線 中央線 千日前線 | 大国町駅(御堂筋線⇔四つ橋線) 本町連絡線(四つ橋線⇔中央線) 谷町連絡線(谷町線⇔中央線) 阿波座連絡線(中央線⇔千日前線) |
架線集電方式 | 堺筋線 | |
リニアモーター | 長堀鶴見緑地線 今里筋線 | 工場連絡線 |
新交通システム | ニュートラム |
配線図
大国町駅(御堂筋線⇔四つ橋線)
第三軌条方式の御堂筋線と四つ橋線は、大国町駅の南北にある2つの両渡り線で繋がっています。
南側(動物園前・花園町方)は四つ橋線開業時(1942年)から存在していたものです。一方で北側(なんば方)は四つ橋線の西梅田延伸時(1965年)に線形改良され、現在の姿となっています。
2路線の直通運転が計画されていた(未実施)ほか、四つ橋線車両は御堂筋線の我孫子検車場を共用していたため、渡り線が使用されていました。
現在は四つ橋線は緑木検車場・車両工場が開設して各路線が車両基地を持つようになりました。しかし逆に御堂筋線車両の大規模検査を緑木車両工場で行うようになりました。そのため御堂筋線車両が大規模検査を行う際に、四つ橋線に移動するためにこの渡り線が使用されています。

なんば 方面

動物園前・花園町 方面

本町連絡線(四つ橋線⇔中央線)
第三軌条方式の四つ橋線と中央線は、本町駅の近くの本町連絡線で繋がっています。
建設されたのは2015年。大阪メトロの中ではまだまだ歴史が浅い区間です。
本町連絡線の開通前は第三軌条方式の線路の中でも、「御堂筋線・四つ橋線グループ」と「谷町線・中央線・千日前線グループ」の2グループは線路が分断されており、それぞれのグループを越えて車両を移動することはできませんでした。
しかし、「谷・中・千グループ」の車両の全般検査・重要部検査を行っていた森之宮車両工場の老朽化を機に、同工場を廃止して「御・四グループ」の緑木車両工場に検査を一元化することに。
そこで必要となったのが2グループをつなぐ連絡線。四つ橋線と中央線の交差する本町駅付近に設置されたのがこの本町連絡線です。
そのような経緯から、現在は谷町線・中央線・千日前線の車両が大規模検査を行う際に、四つ橋線に移動するために本町連絡線が使用されています。

中央線と並行する阪神高速の橋脚を避けるように設計したため、四つ橋線から分岐した後に一度中央線と立体交差してから中央線に接続するというルートになっています。
四つ橋線接続部


谷町連絡線(谷町線⇔中央線)
第三軌条方式の谷町線と中央線は、谷町四丁目駅の近くの谷町連絡線で繋がっています。
連絡線は谷町線開業時(1967年3月)に設置されたものですが、まだ中央線の当区間は建設中でした。半年後(1967年9月)に中央線谷四~森ノ宮間・森之宮検車場が開業し、谷町線の車両基地として森之宮検車場を共用することになり、連絡線が使用されるようになりました。
現在は谷町線内に車両基地(大日・八尾)がありますが、大規模検査は緑木検車場で行います。谷町線から四つ橋線へ移動するために中央線を経由する必要があり、その際に谷町連絡線が使用されてます。

谷町線 接続部

中央線 接続部

阿波座連絡線(中央線⇔千日前線)
第三軌条方式の中央線と千日前線は、阿波座駅の近くの阿波座連絡線で繋がっています。
連絡線は千日前線開業時(1969年)に設置されたもので、検車業務で中央線の港検車場(廃止)へ車両を回送するために使用されていました。中央線の東西貫通後は、中央線の森之宮検車場を千日前線の車両も共用することになりました。
そのため現在でも千日前線車両が車庫と路線の行き来のために、毎日何編成も連絡線を使用されています。

千日前線接続部

鶴見検車場工場連絡線(長堀鶴見緑地線⇔今里筋線)
リニアモーター方式の長堀鶴見緑地線と今里筋線は、それぞれの車両基地同士が連絡線によって接続されており、国内でも珍しい工場連絡線となっています。
花博記念公園の南端にある長堀鶴見緑地線の鶴見検車場と、同公園の北端にある今里筋線の鶴見緑地北車庫を結ぶため、工場連絡線の全長は約2キロメートルと非常に長いです。
今里筋線の計画当初から、今里筋線車両の大規模検査を鶴見検車場で行う予定で、移動のための連絡線が必要でした。そのため今里筋線の建設時に連絡線も建設され、今里筋線開業の2006年より使用されています。

鶴見北車庫 接続部

トンネル内

上の画像は、撮影会イベントで撮影したものです。詳しくはこちら。
余談ですが、2路線は蒲生四丁目駅で交差しています。これまでの例だと路線の交差部に連絡線を設置していましたが、今回はそうはいきませんでした。その理由は、2路線の上を走る道路に十分な幅がなく、線路を敷く用地が確保できなかったからだそうです。
引用・参考文献
大阪市交通局「大阪市地下鉄建設五十年史」,1983.
照井一史,中西平「第3・4号線車両回送用連絡線の線形及び構造設計について」,交通局第37回業務研究発表会(土木部門),2010.
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